第19回 難聴者の心理について②

テレビなどを、見ていたら、お笑い芸人が、「リアクション」がいいとか悪いとか言っているのを聞いたことがあります。

 ビックリするところで驚いて、面白いところで大笑いして、顔の表情豊かに、体の表現大きく反応するということをリアクションがいい!とか反応がいい!と言うようです。

 ジョークを飛ばし、それに対して、またジョークを返し、大笑いする。会話のキャッチボールとは、普通こういうことのようですが、僕たちには、よく聞こえていないことから、いつだって、どんな時も、リアクションよくというわけにはいきません。会話が充分に聞こえ、的確に理解していれば、そうすることができますが、聞こえないことが多くなってくると、だんだんリアクションしない傾向になります。
というより、もともと聞こえていないから、表情の出しようがなく、リアクションのとりようもないのです・・・

 周りで、雑談をしているのに、自分達はその中に入ることが出来なかったり、話の輪の中に加わることが出来ない時、僕ら難聴者は、一様に無表情になるのです。

 その表情は、あえていうならば、聞こえない事へのもどかしさや、やりきれなさを含めた「怪訝な表情」とでも言うべきでしょうか?

 そんな中、僕は、何を聞いてもビックリしないような、逆の心理状態に陥る時もあります。

 僕が初めて聞いたことや聞こえたことは、周りの人にとっては、ずっと前に出ていた話題の可能性がほとんどだから、あえて喜怒哀楽の表情を顔に出さず、知っているフリをするのです。

①の場合

Aさん
「土曜日の忘年会、行くの?」

「忘年会って、土曜日だったん?」
Aさん
「えっ?何言よん!今頃!前にちゃんと、皆に連絡しとるでよ!」

②の場合

Aさん
「土曜日の忘年会、行くの?」

僕の心の声
(えっ?そろそろだとは思ってたけど、土曜日だったのか・・・)


「まだ決めてないんよ!」

①の会話の場合だと、聞こえたことに対して、そのまま感情や感想を表に出した結果、このようなちょっと泣きたくなる会話になっていますが、②の場合は、自分の中で、一度整理し、「忘年会は土曜日」という既成の事実を作りあげた結果、知っていたフリをしている会話にしてしまっているのです。

 もちろん、そのことばかりを気にしていては、積極的な会話に繋がらず、むしろ、消極的な姿勢のままになってしまいます。知らず知らずのうちに、子供の頃から、聞こえたフリや、知っているフリをすることが身についてしまっているようなのです。
 そして、相手が笑っているから、この話題は「笑」なのだと、理解することによって、愛想笑いなどもしてしまうのです。

 もっとも僕の場合は、表情が特に乏しいようなので、高校の時、なにかの話題がひどくツボにはまり、ウケて大笑いした時に、「ntさん笑ったところを初めてみた!」って言われたり、香川の難聴協会へ初めて、お邪魔させて頂いた時にも「暗いな~」なんて言われて、僕自身そんなに笑ってなかったのかな・・・と思ってもみたものです。

皆さんとの交流で表情豊かに、腹の底から大笑いして、心の底から、共感し合いたいものです。

 

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