前回からの続きです。
その後、とうとう要約筆記養成講座(初級)が終わり、修了証書ももらいました。
今回の講座では、手書きの練習だけでした。PCと手書きの要約筆記では、与えられる情報の量が全く違います。
手書きは、PCに比べるとどうしても書ける量が少なくなるからです。なので、講習では、
「いかに不必要な所を省くか、どこまで省くか」などを習いました。
「そぎ落とし」の方法はPCでの要約筆記でも、とても役に立っています。
PCは手書きと比べると、たくさん打てるので、より細かい所まで打てますが、やはり「そぎ落とし」の基本的な考え方は同じだからです。
とはいえ、修了式の時、「授業が終わったからって、実際にバリバリ活躍なんて出来るんだろうか…」
という気持ちがありました。他の受講生の方達も同じような事を言っていました。
「習うより慣れろ」との言葉を信じるしかないのかなぁ…と思っていました。
講座修了後、早速、何件かの要約筆記派遣のお誘いを受け、1メンバーとして出向きました。
まず最初に派遣された所は、とある大きいホールで、とてつもなく大規模な講演会でした。
内容も政治がらみの事がほとんどで、難しい言葉もたくさん出てきて、「ウギャー!!絶対無理!!」と心の中で叫びながら、必死でPCの画面を見つめていました。
簡単な言葉ならサッと打てるのですが、それでも緊張して手がなかなか動かなかったり、
「何!?今なんて言うたん!?○○政策って何!?」と、さっぱり講演の内容について行けず、ベテランさん達にたくさんフォローしていただきました。
ベテランさん達ってほんとにすごい…と思いました。
司会者の方が丁寧な言葉で長く話した事を、簡潔に分かりやすく要約されているのを見て
「おおー!!すごいっ、そうか、そうやって訳せばいいのかあ」と勉強になりました。
なんとかその日は終わり、「あぁーほんまに私はこんな事やってていいのだろうか。
迷惑かけるだけなんじゃないだろうか」と少し思いました。
それでも、後片付けをしていた時に、傍聴者の何人かの方達が、
「すごいねー、あんな事が出来るなんて」と言ってくださったりしました。
もちろん、その時も私は心の中で「いえっ、すごいのはこちらのベテランさん達でございますっ。私は違いますっ」などと思っていたのですが、
その時チラッと聞こえたのが、
「話をまとめて文字として表示してくれると、分かりやすいね」という健常者の意見でした。
なるほど。
そういえば私も、「要約筆記要請講座」で、講師の方が喋っている内容が難しい時、
もしくは人前で話すのが苦手な講師の方の時、スクリーンの方を見て「ふむふむ」と理解していたのを思い出しました。
要約筆記は、難聴者・中途失聴の方、お年寄りの方達だけでなく、色んな人に役立つものなんだなーと感じました。
その後も、私は色々な所へ派遣させてもらい、いつも心に「初心者マーク」を貼って、
毎回緊張しながら要約しています。
あ~あ、「耳マーク」みたいに、「要約筆記者初心者マーク」もあったらいいのに(笑)
「要約筆記者初心者でございますっ。不具合な点がございましたら何卒ご勘弁をっ」みたいな(笑)
でもやっぱり、要約筆記者として出向く場合は、パソコンの前に座ったら、新人だろうと、自分もプロの意識を持って望まねばいけませんね。
なぜなら、スクリーンを見ている難聴者の方達にとっては、要約している人がベテランであろうが新人であろうが、関係ないからです。
今でも、要約筆記の予定の前日はいつも「あーどうしよう、大丈夫かなぁ」と心配になっています。
でも、所属している団体の方達がほんとに皆さん親切な方ばかりで、こんな私にも優しい言葉をかけてくださっているので、続けられています。
それも、要約筆記を続けていくうちでの、大事な事なのかも…と思います。
「要約筆記を始めて…③」へ続きます。
阿波女