第22回 要約筆記を始めて…③

また前回の続きです。長くてごめんなさい。

 要約筆記を始めてみて、分かった事の1つに、
「喋っている人の言葉を聞き漏らさないよう、全神経を集中させて、
そして瞬時に要約し、瞬時に打ち込み、その動作をしながら話を聞きつつ、次の
要約を頭の中でまとめる」
という事がいかに大変か、いかに疲れるか、という事でした。

 要約筆記は主に何人かで、交代をしながら、休憩を入れながらします。
私は最初、「なんでそんな、ちょくちょく休憩を入れるんだろう?」と思ってい
ました。
 というのも私は、何時間メールを打とうが、何時間チャットをしようが、手も目
も全然疲れないからです。
年齢的なものや個人差もあるかもしれませんが、そういえばインターネットが流行しだした頃は、チャットが面白くてたまらなくて、ぶっ続けで12時間も友達とチャットしていた事もあります。それでも手は全然疲れませんでした。

しかし!!しかしですね!!
要約筆記になると、全然話が違ってきますっ!!
なんとなく打つのではなく、「正しく、分かりやすく、速く」を意識しながら打つ要約筆記は、本当に疲れます。

 私の場合、手は疲れないんですが、とにかく全神経を集中して要約して打つとい
うのは、「脳」がものすごく疲れるものです。毎回、終わる時には思わず「ホッ」とします。

 それでも、「こんな私でも人の役に立てる」という大きな嬉しさ。
そして、新人で足を引っ張ってばかりの私を、「入会してくれたおかげで助かってるよ」とおっしゃってくれる、親切なベテランさん達。
この2つが、私を支えてくれています。

 それから私は、耳は健常ですが、実は、「話についていけない事の淋しさ、もどかしさ」がよく分かるんです。

 以前、海外に長期滞在していた事があり、英語圏だったのですが、英語が分からなくて「コミュニケーションの難しさ」を身をもって経験しました。
 今では、日常会話程度はなんとか分かるのですが、それでも、例えばネイティブ同士が早口で何かの話をしている時、ふいに「あなたはどう思う?」と聞かれたりしたら、「えっ…(゜□゜;)(やべぇ…)」となりますし、
TVも十分にはついていけません。ニュースなんて全然ダメです。
十分に分かるのは、子供用番組のみ…。あっ、ニモとか大好きです(笑)

 例えば、みんなでTVを見ていて、みんなが笑っているのに自分だけ分からなくて、
「あーでも自分だけしらけてたら、なんか場の雰囲気を壊すよなぁ…。まぁ適当
に笑っておくか…」と、
分かってないのにヘラヘラと笑って分かってるフリをしてごまかす、なんていうのは日常茶飯事でした。

「ごめん、今なんて言ったの?何が面白かったの?」と気楽に聞ける相手ならいいのですが、大抵の場合、どうしても遠慮してしまうんですよね。
いくら気楽な相手でも、あまりにも質問しすぎると悪いなーって思いますし。
だって、その人がTVを楽しめなくなるから…。

 映画館でも、周りがドッと笑っていても私だけ「しーん」、みたいな…。
あと、誰かと話してて、何度言ってもらってもどうしても分からない時なんか、
「あーもう、なんで分からないの?」と呆れられたり。

このHPのコラムの、「第16回 難聴者の心理について① 」を読ませていただきましたが、
「まさにその通り!!!」と言いたくなるような事が書かれています。
少し抜粋させていただきます。

>相手の「面倒くさい」と思わせる表情や「イライラしている」ような仕草などを察知し、
>聞き返すことに臆病になったり、億劫にもなるのです。

うんうんっ!!!ほんとにそう!!!(>_<)

>自分と相手の二人だけの会話の場合だと、まず、聞き取りやすい状況であることがありますが、

>自分が聞こえていなければ、あるいは分かっていなければ、会話が進みません。なので、
>分が主となり、相手と会話を進めているなかで「エッ?」と聞き返さざるを得ないのですが、
>複数での会話の場合は、そうはしない、そこまではしない心理があります。

分かるっ、すっごい分かるっ!!!(゜□゜)

>そして、最終的には、自分を納得させるのです。
>「雑談程度については、聞こえなくても、差し支えないよな・・・」と。

そうっ!!そうなんですっ!!!本当にその通り!!!
「あ~今この人が話してる内容って、多分どうでもいい事だよな…いっか…テキトーに流しておけば」と、流したりしてしまうんですっ!!!

>これが、仕事の場合だと、そのような姿勢では、業務内容に差し支えるので、
>配慮を求めたり、態度を改めないといけませんし、聞こえるまでというより、
>分かるまで理解するまで、コミュニケーションをきちんと、とらなければなりません。

わあ~ん(T□T)すごい分かる!!!
海外で働いた経験があるのですが、電話なんかだとホントに何度も聞き直したりして、
業務内容に差し支えのないように努力していました。

>人によれば、女性の声質、いわゆる、高音だけが、聞き取りやすいとか、低音高音を問わず、
>全体的にもっと大きく喋ってもらわなければ聞き取りにくい人もいるわけで、
>一概にいかないところが、また難しいところです。

これもすごい分かりますっ!!!
○○さんが話してる事はさっぱり分からないのに、△△さんに同じ事をもう1回繰り返して言ってもらったらなぜか分かる、という事が私もあります。

とまあ、耳の話とは別になってしまいますが、
不自由さ、もどかしさは私はすごく分かるつもりです。
だからこそ、難聴者や中途失聴の人達に、私は1つでも多くの情報をお伝えしたい!と思っています。
そして、1人でも多くの方のお役に立てる事が出来るなら、そんなに嬉しい事はないと思います。

ダラダラと長いコラムですみませんでした。読んでいただいた方、お疲れさまでした。

要約筆記を始めたばかりの仲間の方々、この文章を使って「そぎ落とし」の練習をして下さい!
(笑)

                                           阿波女より

 

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