第12回 自助(セルフヘルプ)グループについて~当事者活動に関わった自らの体験

■自助グループとの関わりのきっかけ

私が自助(セルフヘルプ)グループと直接関わるようになったのは、今から20年ほど前、母親が神経難病のパーキンソン病に罹患し、「全国パーキンソン病友の会」と関わるようになって以来です。

この病気は緩やかながらも症状が進行し、やがては全身性の障害となって日常生活に大きな支障を来たします。もちろん本人も大変ですが、家族にとっては在宅での療養をどう支えていくかがテーマとなってきます。そんな中で考えたのは、そもそもパーキンソン病とはどんな病気か、症状に伴う身体の障害とはどのようなものか、同じ病気と闘っている他の患者さんや家族はこの病気とどう向き合い、付き合っているのだろうかということを知りたくなり、患者と家族が中心となって活動している「全国パーキンソン病友の会」と後に深く関わるようになったわけです。

■徳島「友の会」の発足

「全国パーキンソン病友の会」は、1998年時点で徳島には組織されていませんでした。そこで身近な地域で当事者同士が情報交換できる場が必要と考え、私も含め、7名で半年ほどかけて結成準備をし、1998年11月に「徳島県支部」を発足しました。

当事者である患者とその家族が中心となって運営するのが「自助(セルフヘルプ)グループ」です。私は当初からこの基本的なスタンスだけにはこだわりました。どんなに偉い専門職でも当事者が中心でなければ意味を成さない・・・。
専門職との協力関係は言うまでもなく必要ですが、会の構成はあくまで当事者中心、この「自助(セルフヘルプ)」というのがコアな部分でなければ当事者のためのグループとは成り得ないと考えていたのです。
活動の目的としては、パーキンソン病を必要以上に怖れず、侮らず、病気について正しい知識を得ること、上手な付き合い方、生活面での工夫などについて多くの人々との交流で学び合うこと、情報や経験を共有すること、視点や考え方を変えてみること、仲間や相談相手・支援者を得ること、そして住み慣れた地域の中でよりよい療養生活の環境を創りながら、パーキンソン病と共に「自分らしく自立していくこと」を掲げています。
具体的には、定例会の開催、機関紙(会報)の発行、情報誌の発送、医療講演会・各種相談会の開催、医療・福祉・保健などの専門職やボランティアの方々との相互理解とネットワークづくりの推進などをメインに行っています。
定例会では時にワークショップ形式(参加体験型)を取り入れ、自らの療養生活上の問題点を整理し、可能な限り解決、または改善していく方策を見出すなどの取り組みも行っています。 
■自助(セルフヘルプ)グループとは?

難病や心身の障害を持つ人たちをはじめとして、アルコールなどの依存症、身近な人を亡くした人たち、吃音の人たちなど、共通の問題を抱える人々が出会い、お互いの悩みや体験を分かち合って、自分で課題に対処できるようになる場であり、相互に援助し合うために、当事者によって自発的に組織され、運営されている自立性と継続性を有するグループのことだと言われています。
多くのグループは、会報の発行や定例会の開催などを行っており、そうした活動を通して当事者同士が交流を図りながら、お互いに知識を高め、情報を共有し、体験を分かち合うとともに、他の当事者の考え方や生き方と接することで、自分らしく自立していくための能力を向上させていきます。
また、地域の中で様々な分野の人々とのネットワークを築き、相互理解を深めるといった働きもあります。
おまかせの医療・福祉から、当事者自らが参加し、「自己選択・自己決定」する時代への変遷の中で、「セルフマネジメント」といった活動も実践されてきています。セルフヘルプグループが果たすべき役割は、今後ますます重要になるものと思われます。
なお、専門職の方の支援との違いには主に次のような特徴が挙げられるとされています。孤独感の緩和(自分だけではない)、自己の再発見(いろんな当事者の考え方・生き方を知り、自分を見つめ直す)、相互援助(自分自身を助けることが他の当事者を助けることになっている)、精神的な支え合い(共感と理解)。
最後になりましたが、「徳島県難聴者と支援者の会」が、地道ながらも息の長い自助(セルフヘルプ)グループとして発展されることを願っております。 打樋 茂之

 

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