第5回 夢について

難聴であることで、理想とはかけ離れ、憧れからは縁遠い生活を送っていた自分がいた。
希望を捨て、夢を語るなんてことのない・出来ない自分になっていた。

やりたい仕事って何?自分に出来る仕事って何?

昔、レストランでアルバイトしていた時に、オーダーと違うものを作ったり、指示が聞こえなかったり、といった多くの聞き間違いを犯した事があって、それがトラウマになってしまいました。

「こんなんじゃ、仕事なんて出来ないな・・・」
「仕事するにしても自分で選んであれがしたいこれがしたいなんてそんな立場にはないな・・・」
心の中で、そう思っていました。
正直、選択の余地はあまりないなって感じていました。

恋愛なんて!難聴を認めることすら出来ない自分が、好きな女性に告白なんて出来るの?

女性と付き合うのも、非常に難しいのではないかなと・・・自分の聞き取りにくい高音は人間の声で言うと、若い女性の声なので学生時代も、女性からは避けてしまうようになっていました。
真面目でウブみたいな感じでとられていたようですが、自分もそうとられるのに慣れていましたが。
{本当は好きなんだけど(笑)}
「これは恋愛を語るどころじゃないな・・・」
「歳の離れた年配の女性だったら、比較的聞き取りやすいから、それだったらいいのかな?」
なんて自分なりに恋愛観を固定していたような気がします。

夢を語る?難聴の事がネックになって、何事も億劫になる自分に、なんで夢なんて語れるの?

夢を持つなんて言葉自体、自分には、考えたこともありませんでした。だって何かしたい仕事や、したいと思う事があってもいつも難聴の事が頭に浮かび、そのことを、いつも心配し不安になる自分がそこには居たから。
それを実現する手段すら浮かばなかったから、絶望の中から希望を見いだす事は出来なかったのです。
 でも同じ難聴者と出会い、交流を深めるうちに、そのためのいろいろな手段やいろいろな方法が見えて来ました。
難聴者だって、夢を持てるんだと気付き始めました。
結局のところ、夢や、やりたい事を見つける事ってこういうことかな・・・

『夢は、叶っても叶わなくても持ち続けることが大切である。夢や憧れや希望に理想があってこそ毎日に生き甲斐を感じられると思うのである。』

多分どっかの偉人の言葉・・・(笑)

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