利用者A:
「トイレットペーパーがないんで、補充して!」
忙しい時に声を掛けられた職員Bは他の利用者の世話をしながら、「ちょっと、待って!後で補充しとくから」普通の声で喋る。
利用者A:
「ちょっと、どうなってるの?」
職員B:
「さっきから言ってるでしょ!ちょっと待ってて下さい。」で、つぶやく。
「もう、いつもあんな調子なんだから!あのAさんは自分の都合ばかり主張して・・・」
利用者Aは腑に落ちず、退散する。
※利用者Aは充分に聞こえておらず、全く理解が出来ていない。
※職員Bはちゃんと利用者Aに対して伝えていると思っている。
この場合、この利用者が認知症があるとか、また自分の都合ばかり言うとかいろいろな理由があるにせよ、ただ一点配慮してあげて欲しく思ったのは、この利用者Aさんは難聴であるということ。
この職員Bが難聴者に対しての理解が少しでもあれば、また「声はやや大きく、はっきりと、ゆっくりと、正面で・・・」
このことを知っていて、それを配慮しさえしてくれていれば、もっとコミュニケーションが進み、もっと意思疎通が図れたのにと、大変残念に思いました。
例え、認知症があろうとも、会話のキャッチボールをすることが出来るのにとも思いました・・・。
その上で、認知症や理解力うんぬんの話になるのにこれじゃ、スタートラインに立つことすら、させてあげず人格否定じゃないですか?
それに、この場合だと、一方的な会話になっており、難聴者の気持ちが痛いほど分かる自分としては、その会話を傍で聞いていて、もどかしくてしょうがなかったのです。むしろ逆に何が何でも分かってもらいたいとの気持ちがあり、通じなければ「やや」より「さらに大きく」喋る、筆談するとかの手段をもって、意思疎通を図りたいと思いました。
その職員Bの気持ちの上では、おそらく面倒くさかったり、どうせ聞こえたところで分かってもらえないだろうとかそんな気持ちがあったのかも知れませんが・・・(その後、職員Bが居ないところで、自分が代わりに喋りましたが。)
最近つくづく感じるのは、周りの健聴者の皆さんの勘違いもありませんか?「あの人聞こえてるよ!」というまわりの思い込みもありませんか?
例えば、健聴者のCさんと難聴者のDさんが会話していて、敬老会の話で既に盛り上がっている際
Cさん:
「敬老会いくんかえ?」
※Dさんに実際に聞こえている内容
「ケ〇〇カ・・・・い・・かえ?」
Dさん:
「うん、今年は行くでよ!」
このような会話をした場合にCさんからしたら
「Dさんちゃんと聞こえてるよね!だからそんなに大きい声で言わなくても大丈夫だし、普通に喋って配慮なんてしなくても大丈夫よ!」
ちょっと待ってと言いたいのは、難聴者Dさんは、実際には聞こえの内容が部分部分しか聞こえていないのですが、この会話の流れだと、ケがつく言葉で、そのニュアンス、また疑問符で終わるような話だと多分敬老会のことだろうなと見当をつけ、その上で喋っているのです。
それゆえ、「敬老会いつあるんかえ?」と間違うこともあるかもしれませんが。
老若男女難聴者皆、考えながら、推測しながらの会話なのです。
この会話の流れだと、こういうことだな。と考えながら、ひょっとしてこうなのかな?と推測しながら、会話しているのですが、実際の聞こえはそうはっきりと、内容を全部聞き取る事が出来ているかどうかと言えば、その半分も聞こえていない事がほとんどなのです。(聴力dbにもよりますが)
そのために、予想だにしない、とんでもない聞き間違いを引き起こすこともよくあります。
ちなみに自分が最近犯した聞き間違い
「ア〇〇〇〇〇、やめるらしいぞ!記者会見してるぞ」
僕:
「エッ!やめるん!びっくりや!でも記者会見するって今ドリームランドにおるんちゃうんかえ?」
この時点で、朝青龍と安倍総理を勘違いして思い込んでしまっています。
最初の一文字の「ア」しか共通する言葉がないのですが、なぜこのような事になったのかというと、
例えば、連想ゲームをしながら・・・
問題:「ア」がつく人でやめると言って世間を騒がせる人は誰でしょう?
このような問題を瞬時に脳内で考えて推測してしまっているからなのです。
そもそも問題の時点で既に間違っているのに、滑稽な話です。
難聴者である僕達は、聞き取れた言葉の範囲内で考えながら、推測しながら喋っているので、少しでもその推測する材料を増やす努力をして欲しいのです。
「安倍総理大臣がやめるらしいぞ!」
「安倍内閣が発足したばかりやけど、総理がやめるらしいぞ!支持率も低下しているし、選挙にも負けたから仕方ないんだろうな!」
ここまで喋ってくれれば大丈夫です。
もうドリームランドでの記者会見とは間違えません・・・(笑)
nt