要約筆記! 平成維新!!

要約筆記が大きく変わろうとしていることをご存知でしょうか?

 今まで、各県市町村が独自で特色を持って行ってきた要約筆記奉仕員の養成が廃止されます。
その代わり、今後難聴者への要約筆記を行う方々を「要約筆記者」と位置付ける事になります。

 そして、ここで大切な考え方は、今までの「要約筆記奉仕員」と「要約筆記者」とは、全く別のものであるとの認識です。

 極端な言い方をすれば、今まで要約筆記者を目指して、受講して得られた地位や資格は、全部無効になると言う事です。(救済措置はあります)

 では、なぜこんな事をするのかが気になると思います。それは「要約筆記者の社会的地位の確保」です。

 手話に関しては厚生労働省が定める、手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)等があり、「通訳者」としての地位が確立されていますが、要約筆記に関しては、まだそこまで至っていないのが現状です。

 そこで今回、将来的に手話と同等の認定資格を目指す目的を含めつつ、全国的に統一したカリキュラムと精選した講義を整備し、受講生が同じ内容を受講する事により「要約筆記者」としての資質の向上と均一化を目指す動きとなった訳です。これにより、 「要約筆記通訳技能認定試験(要約筆記通訳士試験)」のような制度ができた時にも、対応できるものとなっているはずです。

 今回予定されています要約筆記者養成に係るカリキュラムの内容は、受講時間80時間から90時間(推奨84時間)といった、今までの要約筆記奉仕員養成カリキュラムの52時間に比べて、非常に長く、内容が充実したものとなっています。

 一例を上げれば「対人援助」や「要約筆記者のあり方」など、技術面の受講内容ばかりではなく、聴覚障害者の人権擁護の立場に立った要約筆記者のあり方、要約筆記者が目指す人間性など、要約筆記を通して、ひとりの聴覚障害者への支援者としてのあり方など、ヒューマンコミュニケーションの内容が充実している事が特徴です。

 荒っぽい表現ですが、「要約筆記を通して、共に成長する要約筆記」へ移行すると考えられます。

 それでは、今まで要約筆記奉仕員だった人はどうなるの?と言う問題が発生してくると思います。
それには、3つの対応が用意されています。

① 忘れて、新たに「要約筆記者」の養成講座を受講する。
② 「要約筆記奉仕員」から「要約筆記者」に変更する補講を受ける
② 名前だけの要約筆記奉仕員なら、捨てる。
この3つです。

①、②の内容は、現時点では明確に内容が決定していませんが、今年度中には指針が確定され、②の補講に関しては開催される可能性があります。

 また、要約筆記者の養成と並行して、「要約筆記者養成講習の指導者の養成研修」と言うのも行われるようになりました。

 簡単に言えば、「要約筆記者養成講習」の先生を育てる講習です。しかもこの講習は県が主体となって、必要経費(交通費・宿泊費)も県から支給されます。

 言い換えれば、ここまで要約筆記の必要性が公の機関で認められてきたと言う事です。

 要約筆記に関しましては、現在「激動期」を迎えていると言えます。
難聴当事者の皆さん、要約筆記に関心をお持ちの皆さん、ナシの会は今後とも平成の維新を注視しながら、より良いものとなるよう働きかけをして行きたいと考えていますので、ご協力をよろしくお願い致します。  

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