平成23年5月8日(日)フレア徳島におきまして、全要研四国ブロック総会・学習会が行われ、その中で、NPO法人全国要約筆記問題研究会(以後全要研)副理事・事務局長の山岡千恵子さんの
今後の要約筆記事業について
~要約筆記者養成カリキュラムの通知を受けて~
と言う内容の講演会が行われ参加してきました。
参加者は、四国各地で現在要約筆記に携わっている方々が中心で、その他行政関係の方、難聴当事者の方、支援者の方などが参加をしておられました。
先ず講師の山岡さんから、要約筆記に関する現在までの変遷がお話され、今後要約筆記はどのような方向へ向かっていくのが良いのかと言う内容で、個人の意見も含めながらお話しがありました。
1985年、要約筆記奉仕員派遣事業がスタートし、1999年に要約筆記奉仕員を養成するためのカリキュラムが整備、2000年に社会福祉法の中で難聴者支援として手話通訳者の位置づけが行われ、手話の中に要約筆記も含まれるとの答申、2005年に障害者自立支援法の制定に伴い市町村においてコミュニケーション支援事業として行わなければならない事業となり現在まで行われている・・・。
しかし現状は、難聴者が望む内容とは大きく乖離しているため、現状に即した方法を模索しながら、2024年に改正される総合福祉法(仮称)の中に、より現状に即した内容で盛り込まれるよう、全要研、全難聴の協力のもと現在、要約筆記者養成のカリキュラムの研究、要約筆記者を養成する為の指導者養成カリキュラムの研究、及び教材等の検討が行われているとのお話しがありました。
今後の要約筆記の流れとしては、今まで行われてきた「要約筆記奉仕員」の養成は廃止し、「要約筆記者」の養成へと一元化をし、資質の向上と公平性を保つ方向へ完全移行の考えのようです。
ただし、今まで現場で頑張ってこられた「要約筆記奉仕員」の皆さんへの「要約筆記者」への登録も、幾重にも対応を考えていて(補習や講習、今までの読替等)、充分な対応が行われるそうです。
「要約筆記者」の一元化により、身分の安定化はもとより法的な支援、カリキュラムの検討充実により、下記に記した要約筆記者が目指す5つの項目の早期実現につながると考えられます。
○ 社会福祉の理念を理解している
○ 通訳者としての理念を理解している
○ 要約筆記技術で、通訳できる
○ 対人支援に係わる者として、自己育成ができる
○ 聴覚障害者の権利擁護の観点から、通訳ができる
また、今後は各地元において、指導者の育成にも力を注ぐ方針であり、「要約筆記者指導者養成事業」を行い、東日本及び西日本に大別して各都道府県から4名程度の参加者を募り、50時間を3日間、それを3クール行う行事が計画中のようである。(参加費、交通費は無料の方向で検討中)
それに向けて指導者用のテキストの作成が行われ、できれば今年度からスタートさせたいと言う意向のようです。
最後に、全要研として、今後どのように要約筆記に係わっていくのかを、個人的な意見を加えながらお話しがありました。
○ 指導者養成への協力・・・ 今までの要約筆記活動で蓄積されたノウハウをもとに、既養成者 への「要約筆記者」移行への働きかけ
○要約筆記事業推進の要望・・・各支部の要望や活動の後押し
○文字情報支援と難聴者との協働・・・社会変革性を持つ公益事業の構築
をあげられ、講演の最初に東日本大震災で全要研が行う支援方法として、「息の長い支援活動」「直接的な支援活動だけではなく、社会的な支援活動」を述べられていましたが、今後の方針にも合致したお話しで、講演を締めくくられました。