演劇公演 「幸子」レポート

中途失聴者をテーマにした演劇     平成22年10月16日(土)アミコ シビックセンター4F 
「幸子」公演が行われました 。

「幸子」のあらすじは省略し、芝居を見ているという前提でレポートを書きます。芝居を生で見た率直な感想と何日か経って感じた客観的な意見を併せて書いてみました。

まず、一つは難聴者の気持ちや心理、挙動が非常に良く表わされていることです。例えば、幸子が普通に話しているように見えるのに、工事の音が入れば、聞き取れない、悪口やオチや肝心なところが聞き取れていなかったりの部分はまさにその通りで、よく描かれていると思いました。

僕たちも肝心なところを聞き逃していることはよくあります。伝達事項などは神経を集中して「何時から?」「何日の予定?」「人数は?」と特によく聞こうとします。

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ひこばえによる字幕の情報保障がついています。

しかし、幸子さんは劇中では、「えっ?」って聞き返すことが少なかったように思います。多分演出上や時間的な都合もあり、省略したのかもしれません。普段はもっと「えっ?」と言って、聞き返すことがあると思います。劇中の会話でも聞き取れているような流れの中で、実は、聞き取れていないことも多かったのではないかと想像します。話のおおまかな部分は大体予測がついても、細かい部分はどうしても聞き逃しが発生してしまいます。

また、二つめとして、まさに私たちが取り組んできたさまざまな問題や、これからも最優先にしていくべき課題が盛り込まれていたことです。あれだけの短い芝居の時間に、それらが盛り込まれていてビックリしました。

幸子さんの職場の環境が変わり、みんなが「耳マーク」に興味を示し始め、それを認知してもらい、やがて事業所の受け入れ態勢が整い「耳マーク」の設置に至る。使用する私たち難聴者にとっても心強いマーク。それが耳マークです。劇中で、水戸黄門の印籠のごとく、「この耳マークが目に入らぬかぁ~」なんて台詞がありましたが、もっともっと社会に広く認知されて欲しいですよね。

次に要約筆記の問題です。「話言葉の2割しか書けないので、頭の中で要約してまとめて書く」という説明は要約筆記の基礎知識として、初めて聞く人にもわかってもらえたと思います。しかし「要約筆記したものは記録として残してはいけない!」極端な例で、もし裁判資料に使用されたりした場合はどうなるのか?」「そうなれば、要約筆記者のなり手がいなくなる」この部分は日頃から要約筆記者との連携を密にしているものにしか分からない部分です。

その他、難聴者をはじめ、現在の社会を取り巻く障害者の状況などが厳しい目で描かれており、現実問題として社会に投げかけていくべきだろうと思いました。

 昨年末の例会で「幸子」の脚本を初めてみせてもらった時に「難聴者の心理をうまく書いて、これはよく出来ているなぁ~」と感心しましたが、さらに今回、実際の演劇を見て「これはすごいぞ!」と感動。会長の演技力も「どんなだけ千両役者やねん!」と思わずツッコミを入れたくなるぐらいでした。とにかく感動と感動を繰り返して鳥肌が立ちました。すかさず、息子さん達に「お父さんは天才やなぁ~」と言ってしまいました。

僕をはじめ観劇した難聴者の皆さんがそれぞれ自分達の経験したことや現在の自分にあてはまる部分が多々あったのではないかと思います。

会長の挨拶の中で、脚本をまとめるにあたって、ナシの会の中で思ったことや感じたこと、皆さんから聞いたことょまとめたものだとの話がありましたが、本当に一人一人の思いをよく描いているなぁ~と思いました。

 

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この度は”幸子”の公演へたくさんの方々に足を運んでいただき、本当にありがとうございました。

幸子役をさせていただいて、私自身も多くのことがとても勉強になりました。
中途失調、要約筆記、耳マークなど初めて聞く言葉や、聞いたことがあっても内容についてはほとんど知らない事が、台本には沢山盛り込まれていましたので、私も含め役者、スタッフ全員、まずそれらについて、作者のナシの会会長から教えていただくことから始めまりました。

 演じる私達も難聴者の方々への理解の一歩が、そこから始まったように思います。この一歩を公演を観に来て下さる人達にも、経験していただけるよう、『幸子』を創っていったように感じます。

 幸子役を演じるにあたっては、辛いことや悲しいことも沢山、経験してきたからこそ表現できる、明るく前向きな”幸子”像を自分なりに想像しつつ、難聴者の方々の気持ちを少しでも代弁できる”幸子”役でありたいと思いながら演じていました。

 難聴者の皆様が、どう感じて、観て頂けるか、少々不安もありましたが、公演の感想等々の中で、幸子と自分を重ね合わせて観て下さった方もいらしたようで、少しでも、通じるところがあったかと思うと、とっても嬉しく思いました。

 今回この『幸子』で、幸子役に出会えて、本当に素晴らしい経験ができたと思っていますし、私自身の大きな心の財産になりました。

 ホームページの感想も、読ませていただき、皆さんの沢山のさまざまな感想から、私の方こそ、大きな感動をいたたき、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。ありがとうございました。

 公演は一度でしたが、幸子はDVDにもなります。もっと多くの方々に知っていただきたいという想いは、公演を終えた後、私の中でも大きくなっています!

 『幸子』のDVDが、これから、難聴者の方々への理解や支援のお手伝いの一助となっていくことを心から期待しています!

 最後になりましたが、公演は、観て頂く観客の皆さまがあってこそ、そのメッセージが大きな力を持って伝わっていくものだと思っています。

『幸子』を観に来て下さった皆様、気にかけて下さった全ての方々に心から感謝の気持ちをお伝え出来ればと思います。

本当にありがとうございました。

    村田幸子役・・・・・・・・・増岡香織

他の皆さんからも続々と感想が届いています。

◆「幸子の劇は、耳が聞こえないと言うだけで、差別されて、見ていて、身につまされました。私は働いて来て、そういう経験はないので、最後の幸子の活躍はすごいです。聞こえなくても、書いてくれたら、わかるとゆうことが、始めて劇を見て大勢の皆さんに理解して、貰うことも大事だと思いました。難聴者に寄り添って考えて会長もすごいと思いました。素晴らしい劇を有難うございました。」

◆「幸子の劇とても感動しました。幸子さんが以前勤めていた運送会社さんがとっても協力的だったところが特によかったです。脚本もよくかけていてわかりやすかったです。」

◆「演劇の持つ魔力にガーン(-□-)とやられましたぁ~要約筆記講座開くより、ずっと分かりやすくインパクト大ですね。受け入れ側の反応もリアルに胸に詰まされました。悪役の緊張感が舞台を引き締めていたですね。影の主役です。それにしても会長の何でもモノにするすごさには脱帽です。幸子の続編、恋愛から結婚までのステージを期待します。」

◆「前にストーリーは聞いていましたが、今晩の劇を見ていて自分の事が映し出されている思いに引き込まれて、長らく忘れていた涙が込み上げてきました。どれだけ年数を経ても命にしみ込んだ悲しいかった事が、真にせまった演技に、より思いが新たに蘇りました。如何に会長の私達への思いやりと理解の心遣いが、深く人権の尊敬を貫かれておられるかを涙を流しながら感謝の思いで一杯でした。この劇は今回だけで終わらずあらゆる場所で再演を御願いしたいです。」

 

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