2009年2月の例会レポート

2月28日(土)、午後1時30 分から4時30分まで、障害者交流プラザ2F会議室で本会の例会が行われました。

今回は、新しい方が3名参加をしていただけ、段々と人数も増えてきました。2Fの会議室は本来18名収容の会議室ですが、そこに無理やり椅子を運び入れ、最近は対応する事が多くなってきました。 会員さんが増えていく事は、本当に嬉しい事と思います。

今回の例会は、通常と少し違って、先にNPO法人文字情報支援ひこばえ、大平会長の講演を聞き、その後、近況報告、議事へと進んでいきました。
(大平会長の講演内容は、下記に掲載しています。)

この近況報告は、毎回楽しみにしている時間です。今回も色々なお話をお伺いする事ができました。
遠い所から来て頂いている若手のホープは風邪をひいていたり、仕事が忙しかったとか。徳島駅前を中心にユニバーサルデザインの調査を行ったとか、郵便局に耳マークを設置してもらった、住んでる所が皆さんから遠いと思われているが、実は25分で徳島市内まで来れる!
病院で遭遇した難聴者に優しくない場面の報告や、銀行での対応が最近良くなった、始めて来たが良い雰囲気で今後も参加したい、など色々なお話をお伺いする事ができました。

「この会に参加した時は、聞こえを気にすることなく話をしたり、話を聞いたり出来るのでホッとする」と言うお話がありました。嬉しいご意見の反面、日々の生活の中では苦労されたり、絶えずストレスを感じている事を改めて認識をしました。

議事では、3月3日耳の日の活動を、徳島駅前でのチラシ配りと耳マークの啓発活動に決定しました。(HPの記事を見てください)

また、3月21日県防災センターで行われる、災害時の難聴者支援の会議については、出来るだけ多くの方々に参加を呼びかける事となりました。

NPO法人文字情報支援ひこばえ、大平会長の講演内容

要 約 筆 記 の 話  
平成21年2月28日 難聴者と支援者の会例会にて 

こんにちは。ひこばえの大平です。

 今日の例会で要約筆記の話をしてもらえないかと会長さんから言われましたので、例会の貴重な時間を40分ほどいただいて要約筆記にまつわる話をさせていただきます。
よろしくお願いします。

 さて今もスクリーンに次々と文字が出ています。文字表示は聞こえる・聞こえないにかかわらずよくわかり、このごろでは日常生活で文字で表されるものが少しずつ増えているような気がします。

 マクドナルドやモスバーガーなどでは、ずっと前から商品の写真と名前が印刷された注文案内がカウンターごとに置かれているので指し示すだけで注文できます。

 先日、派遣先の待合室で患者さんの話が聞こえてきました。
「先生がチョウオンパをとるって言うけん、腹かと思うたら胸だってなぁ」
超音波を腸音波と思った患者さん。
先生も書いてあげればよかったのに、と思いました。

 また、昨年末に流行語大賞となった「アラサー・アラフォー」ですがこれを私の夫は「あらかたサーティ・あらかたフォーティ」の略だと思い込んでいたらしいのです。
この場合は文字で表してもわからないので、言葉の意味を理解していなければこんな勘違いとなってしまいます。

 要約筆記はご存知のように、話の内容をその場で要約して伝えることで、話し言葉をそのまま書いたりパソコンで打ったりすることではありません。
 話す速さは、書いたり打ったりする速さよりも数倍も速いけれど要約すれば内容は伝えられます。

 とはいえ要約筆記で「笑い」をその場で伝えるのは、今のところ不可能に近いです。
すみません。
 要約筆記の性質上、話し終わりと書き終わり、パソコンの場合は話し終わりとスクリーンに表示されるまでにどうしても時間差が生まれます。
 この時間差をいかに縮めるかが「同時性」でそのための工夫や練習を重ねていますが残念ながらまだ・・・です。
 笑いにはその上に、話し手の声音や表情、間(ま)といったものまでも含まれます。

会議や講演、教育の場といった内容が重視される場面では要約筆記が広まってきました。

 落語や漫才など表現が大切な場面ではその場で、というよりビデオやDVDなどで映像とともに字幕つきで楽しんだ方が面白いということになります。

 では話す速さと書いたり打ったりする速さはどれくらい違うのかと言うと1分間に何字書けるか、打てるか。 ふつうに話す速さ 1分間に約300~350字 ふつうに書く速さ 1分間に約60~70字 ふつうに打つ速さ 1分間に約120~180字 (漢字かなまじり文での平均速度)
ただしミスタッチがないこと。
 頭の中で整理した上で打つなら、 このくらいがもっともよい数。
200字以上打つ人は、ほとんどいない。 ということは話し言葉をすべて入力できる人は、 まずいないということになる。

 手書きなら1分間に60~70字、と言われてもピンと来ないと思います。
それで実際に自分は1分間にどれくらい書けるのか、ここで書いてみませんか。
これは要約筆記の講座の定番メニューです。お弁当には玉子焼きといった具合の定番です。

書く文字は今からスクリーンに出してもらいます。

  ナシの例会2月終わり

10文字あります。
漢字、カタカナ、数字が混じっています。これを1行の終わりの「り」まで書くと、続けずに次の行にまた「ナシの・・・」と書く。
これを繰り返して何行も書いてください。

  ナシの例会2月終わり
  ナシの例会2月終わり
  ナシの例会2月終わり
  ナシの例会2月終わり

1分間を計ります。
1分が来ると要約筆記のみなさんが肩をたたいて合図しますのでペンを置いてください。

小学4年生の子どもたちに、これをやってもらったことがあります。大人と同じくらいの速さでした。おどろきました。子どもだから書くのが遅いということはないのですね。

話し言葉との速さの違い→ 内容はすべて伝えたい→ 要約

要約筆記者は、こんなふうに要約する勉強をしています。


「もう何年ぐらいお住まいですか」 「そうですね、引っ越してきたのは娘が生まれた年でしたから、かれこれ20年近くになりますか」
   
 →「何年お住まい?」
  「20年近く」

 →「何年お住まい?」
  「娘が生まれた年だから、かれこれ20年」

このように要約筆記者は、聞いたことをひたすら頭の中でまとめて、書いたり入力しています。
その間は無愛想で無表情です。あるいは何事もないような涼しい顔だったり。
でも要約筆記者は心の中でレスリングしています。
何と格闘しているかというと、話の速さと文字にできる速さとのはざまで、伝えたいのに話に追いつけないというジレンマです。
逆に要約筆記者にとって、まれに「話が見える」という時があります。
知っている話、または好きな分野の話はわりとスムーズにまとめていけるものです。
こんな時は頭も指先もよく仕事をしてくれます。
だから要約筆記者は事前情報を探したり集めたりして派遣に臨みます。
このごろはインターネットで講演録などが見られるのでとても便利です。
私も以前、講演のノートテイクの時、前もって講演録を読んでいたらたまたまそれと同じ内容の講演で、とてもよく「話が見えた」ことがあります。

そんなこんな要約筆記者の気持ちを表した川柳を5つ紹介します。

 要約という短くて重きもの正確に書いたつもりが意味不明
 浮かびこぬ文字にひま取りしり切れトンボ
 読みやすく書けてにっこり新人さん
 パソコンに全力集中家事手抜き

パソコンの普及で、急速にパソコン要約筆記が広まっていますがパソコン要約筆記は要約筆記の歴史の上にあります。
速記式とかリアルタイムの字幕入力に関わる人は、目の前に聴覚障害の人がいません。
厚生労働省のカリキュラムに関係なく仕事をしています。

パソコンは講演会や会合などでは、手書きと比べて情報量が多く、均質な文字で読み疲れがないと言われます。
一方で、大学の講義などでの化学式や数式には向いていません。
でも今は向いていませんが、そのうちにパソコンノートテイク用に数式を得意とするソフトが
当たり前に使われるようになるかもしれません。

日本語の文は漢字かなまじりで成るため、パソコンは思いもよらない変換をしてくれます。

では最後に
「笑ってください 誤変換」

☆ 縦覧謝辞券(どんな券?)
⇒ 銃乱射事件

☆ 次官が会っていいね

  (接待? ワイロ?)
⇒ 時間があっていいね

☆ 縮小パレード見に行くぞ!
  (予算がなくなったの?)
⇒ 祝勝パレード見に行くぞ!

☆ ナイス茄子入り(どんな料理?)
⇒ ナイスな推理

☆ 備えあれば売れ伊那市
  (市を売るって?)
⇒ 備えあれば憂いなし

☆ はっと離散と
⇒ 服部さんと

☆ 娘の乳 (えっ?)
⇒ 娘の父

☆ アント匂いの木
  (どんな木?)
⇒ アントニオ猪木

☆ アップだ運
  (運気は上昇だって?)
⇒ アップダウン

☆ ブラ印度タッチ
  (印度風?)
⇒ ブラインドタッチ

とりとめのない話となってしまいましたが、ご清聴ありがとうございました。
何かご質問やご意見はございませんか。
ともに活動していく上で、ぜひ聞かせていただいて勉強したいと思います。  

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